西播磨初のがん患者会 心境語り、知識深める場に

2018/03/29 神戸新聞の記事です。
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201711/0010748905.shtml
がん患者が経験や心境を語り合い、医療・介護の専門家らから知識を得て自分らしい生き方を考える患者会「はまなすの会」が昨秋、兵庫県太子町を拠点に発足し、毎月、勉強会が開かれている。同趣旨の団体は各地にあるが、西播磨ではほぼ例がない。発起人の1人で、自らも血液のがんを患う同町の看護師太田直美さん(56)に思いを聞いた。(佐藤健介)
血液の基になる細胞ががん化する「急性骨髄性白血病」を発症し、2011年に骨髄移植を受けた。血液の組織をいったんなくすために放射線を当てたが、体内粘膜が炎症を起こして焼けつくような感覚に悩まされた。
苦しみを話したくても相談相手はほとんどいなかった。がんは怖く、隠さなければならないという地域性もあった。同じ病気をした人の生活を知りたいと、兵庫県内の患者会やサロンを訪ねて回った。参加者の表情が笑顔に変わる様子に触れ、西播磨にも同様の集まりの必要性を感じた。
同じ頃、復職先の病院で心残りな出来事があった。末期がん患者が病状を主治医に知らされず、入院治療で回復できると思い込み、自宅で最期を迎えたいとの希望がかなわなかった。患者も「医師と病院に任せておけばいい」との意識が根強く、最期をどう迎えたいかの意思を示す場が不十分だった。
自分らしく生きる方法や選択肢を元気なうちに知ることが大事と痛感し、交流と勉強の拠点づくりを決意した。理念は「医療と介護について、何でも話(はな)せて、学(まな)べて、仲(なか)良く助(たす)け合う場」。文字を抜き出して「はまなすの会」とした。
例会は同町の立岡公民館で昨年11月に始まり、在宅医療や訪問看護、かかりつけ薬局の知識に加え、誤嚥(ごえん)性肺炎や心疾患、認知症など、がん以外の終末期について学んだ。今後も緩和ケアやがん相談支援センターの利用法など多彩なテーマを予定する。がんを隠し続けるのでなく、まず心を開いてほしいと願う。「がんになっても幸せ」-。そう、言える社会を目指す。

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